Contents
「高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。」とはどんな参考書か
Gakken(学研)が発行する「高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。改訂版」は、英文読解の基礎を丁寧に積み上げていくことができる参考書です。
シリーズ全体のコンセプトは「難しい言葉を使わず、1つずつ順番に理解していく」こと。イラストや図解を多用したわかりやすいビジュアルレイアウトと、短い英文からスタートする設計が特徴です。
家庭教師として多くの受験生を見てきた経験から言えば、英語の長文読解が苦手な生徒の多くは「単語は知っている、文法もなんとなく習った、でも文章になると意味がつかめない」という状態に陥っています。この参考書はまさにその状態を脱出するための1冊です。

この参考書の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書籍名 | 高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。改訂版 |
| 出版社 | Gakken(学研) |
| 難易度 | 基礎〜標準 |
| 対象 | 英語が苦手な高校生・大学受験生 |
| 特徴 | 図解・イラスト多用、短文から長文へ段階的に進む |
| 音声 | QRコードで無料音声再生あり |

本書の構成と中身
この参考書は大きく分けて以下のような構成になっています。
前半:英文読解の土台づくり
文の骨格(主語・動詞・目的語)の見つけ方、修飾語の処理、節と句の理解など、英文の構造を読み解くための基礎スキルを順番に習得できます。いわゆる「英文解釈」の入門部分にあたります。
後半:読解力の実践トレーニング
短い段落→複数段落→まとまった文章という流れで徐々に長くなる英文を読む練習ができます。各英文には日本語訳・解説・重要表現の3点セットが付いており、1問1問の理解が積み重ねられる設計です。
また改訂版では、共通テスト形式を意識した問題が追加されており、入試に直結した読解練習ができるようになっています。

英文読解参考書の難易度比較表
この参考書がどの位置にあるのかを、他書と比較して確認しましょう。
| 参考書名 | 難易度 | 対象偏差値 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ひとつひとつわかりやすく(本書) | ★☆☆☆☆ | ~45 | 図解豊富・完全初心者向け |
| 英文解釈の技術70 | ★★☆☆☆ | 45~55 | 構文解析を体系的に学べる |
| 基礎英文問題精講 | ★★★☆☆ | 50~60 | 良問揃い・解説が充実 |
| ポレポレ英文読解プロセス50 | ★★★★☆ | 60~68 | 難関大向け・思考力重視 |
| 英文読解の透視図 | ★★★★★ | 65以上 | 最難関大向け・高難度 |
本書は最も入口に位置する参考書です。「英文を読もうとすると頭が真っ白になる」というレベルの受験生に最適です。

本書のメリット
1. とにかく挫折しにくい設計
1回分のボリュームが非常にコンパクトで、1ページあたりの情報量が絞られています。「今日はここまで」と区切りをつけやすく、継続しやすいのが最大の強みです。私が指導してきた生徒の中でも、他の参考書で何度も挫折した子が本書では最後まで進められたケースが多くあります。
2. 音声が無料で使える
改訂版からQRコードで音声が聞けるようになり、英文を「目」だけでなく「耳」でも確認できます。音読学習との相性が非常によく、読解力だけでなく英語のリズム感も養えます。
3. 英文の構造が「見える」ようになる
本書の最大のゴールは、英文を読んだときに主語・動詞・修飾語がどこにあるかが視覚的にわかるようになることです。この「構造把握力」は、長文読解・英作文・和訳問題すべての土台になります。
4. 共通テスト対策にも対応(改訂版)
改訂版では共通テスト形式を意識した問題が追加されています。英語の得点が伸び悩んでいる受験生にとって、基礎の見直しと入試対策を同時にできるのは大きなメリットです。

本書のデメリット
1. 難関大には不十分
本書のレベルは偏差値45前後を想定しており、MARCH・関関同立以上を目指す受験生には物足りなさがあります。本書で基礎を固めた後、必ず上位レベルの参考書へ移行する必要があります。
2. 語彙の強化は別途必要
読解の解説はていねいですが、単語・熟語の網羅的な学習はカバーされていません。単語帳(システム英単語・ターゲット1900など)と並行して使う必要があります。
3. 長文読解の量が少ない
本書は「英文を読む土台をつくる」ための参考書であり、長文をたくさん読む練習には向いていません。入試の長文演習は、本書を終えてから別の問題集で補う必要があります。

東大卒・家庭教師が教える正しい使い方
ステップ1:まず「説明ページ」を声に出して読む
各テーマの最初にある解説ページは、黙読するだけでなく声に出して読むことを強くすすめます。英語学習において「音」と「意味」をつなげる感覚は非常に重要で、音読することで理解が格段に深まります。
ステップ2:問題は「自力で」解く
解説を先に読んでから問題を解く人が多いですが、それでは実力がつきません。かならず先に問題を自分で解いてみて、答え合わせをする順番を守りましょう。
ステップ3:間違えた問題は「なぜ間違えたか」を分析する
「英単語の意味を知らなかった」「文の構造が読めなかった」「知っていたのにミスした」の3種類に分類してノートに記録しておくと、弱点が明確になります。
ステップ4:音声を使って音読を繰り返す
問題を解いて解説を読んだら、必ず音声を聞きながらその英文を音読しましょう。最低3回は声に出して読むことで、英語の語順感覚が身についていきます。
ステップ5:2〜3週間で1周し、すぐに2周目に入る
本書は薄めの参考書なので、1日3〜5テーマのペースで進めれば2〜3週間で1周できます。1周したらすぐに2周目に入ることが重要です。2周目からは解くスピードと精度が上がり、「わかった」が「できる」に変わっていきます。

学習スケジュールの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高2〜高3の4月 | 本書1周目(基礎固め) |
| ゴールデンウィーク | 本書2周目(定着確認) |
| 5月〜6月 | 英文解釈の技術70などへ移行 |
| 夏休み | 長文読解の演習(やっておきたい英語長文など) |
| 9月以降 | 志望校の過去問演習 |

本書と組み合わせるとよい参考書
本書だけでは完結しないため、次のステップへの橋渡しになる参考書も把握しておきましょう。
| 目的 | おすすめ参考書 |
|---|---|
| 単語強化 | システム英単語(Basic→通常版) |
| 文法の整理 | 大岩のいちばんはじめの英文法 |
| 次の読解ステップ | 英文解釈の技術70 |
| 長文演習(基礎) | やっておきたい英語長文300 |
| 共通テスト対策 | 共通テスト英語(リーディング)の過去問 |

こんな受験生には特におすすめ
本書が特に効果を発揮するのは、次のような状況の受験生です。
英語の授業を受けてきたけれど英文を読むと何が書いてあるかわからない、という受験生には最適です。また、単語は覚えているのに読解問題になると点数が取れないという悩みを持つ受験生にも向いています。
中学英語は理解しているが高校英語になった途端についていけなくなった、というケースにも対応できます。
さらに、他の読解参考書を試したが難しくて途中で止まってしまった受験生にとっても、本書のやさしい設計は非常に有効です。

FAQs:よくある質問
Q1. 中学英語が不安でも使えますか?
本書は高校英語の入り口として設計されていますが、中学英語の基礎(be動詞・一般動詞・基本的な時制)は前提になっています。中学英語から自信がない場合は、同シリーズの「中学英語をひとつひとつわかりやすく。」を先に終わらせてから取り組むとスムーズです。
Q2. 本書だけで偏差値はどのくらいまで上がりますか?
本書を2〜3周して内容を完全に身につけた場合、英語の偏差値は40前後から45〜50程度まで引き上げられることが多いです。ただし単語帳の学習を並行して行うことが前提です。偏差値50以上を目指すには後続の参考書が必要です。
Q3. 音声はどうやって聞けますか?
改訂版には各ページにQRコードが印刷されており、スマートフォンで読み取ることで無料で音声を再生できます。アプリのインストールは不要で、すぐに使える手軽さが特徴です。
Q4. 1日どのくらいのペースで進めればいいですか?
1日3〜5テーマを目安にするとよいでしょう。1テーマあたり10〜15分程度で進められるため、1日30〜60分の学習時間があれば無理なく進められます。受験学年なら夏前に2周終わらせることを目標にしてください。
Q5. 旧版と改訂版はどちらを買うべきですか?
迷わず改訂版を購入してください。改訂版では共通テストに対応した問題が追加されており、QRコードによる音声サービスも利用できます。2022年以降の新学習指導要領にも準拠しているため、現役受験生には改訂版が必須です。
Q6. 英文解釈の参考書と何が違うのですか?
「英文解釈」系の参考書(英文解釈の技術シリーズなど)は構文分析を体系的に学ぶ内容で、やや硬い印象があります。一方、本書はその前段階として、英文を「なんとなく読める」から「構造を意識して読める」に変えることを目的としています。英文解釈の技術シリーズが難しく感じる場合は本書からスタートするのが最善です。

まとめ
「高校英文読解をひとつひとつわかりやすく。改訂版」は、英語の読解力をゼロから丁寧に積み上げたい受験生のための参考書です。挫折しにくい設計と音声サービス、図解豊富な解説が特徴で、英語が苦手な受験生の最初の1冊として非常に優れています。
ただし、あくまでも「基礎の入り口」であることを忘れないでください。本書を土台として、次の参考書へのステップアップを計画的に進めることが大切です。家庭教師として多くの受験生を見てきた経験から言えば、英語の伸びは「基礎の質」で決まります。本書をしっかり使い込んで、読解力の土台を確実に固めましょう。
本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。