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入門問題精講とは?まず基本情報を確認しよう
「入門問題精講 数学Ⅰ+A」は、旺文社が出版する問題集シリーズ「問題精講」の中で、最も基礎に位置する1冊です。
著者は池田洋介氏で、数学が苦手な受験生を意識した、シンプルで取り組みやすい構成が特徴です。
白チャートのような網羅型の参考書と違い、入門問題精講は「問題集型」です。厳選された問題だけが収録されており、1問1問に対して「精講」という形で丁寧な解説がついています。
問題数を絞ることで、短期間で1周でき、挫折しにくいのが最大の魅力です。
私がこれまで指導してきた受験生の中にも、分厚い参考書に手が出ない生徒に白チャートではなく本書を勧めてきたケースは少なくありません。

問題精講シリーズのレベル比較表
入門問題精講を正しく位置づけるために、シリーズ全体の難易度感を確認しておきましょう。
| シリーズ名 | 難易度 | 対象レベル | 目標偏差値 |
|---|---|---|---|
| 入門問題精講 | ★☆☆☆☆ | 数学が苦手・ゼロから始める | ~48 |
| 基礎問題精講 | ★★☆☆☆ | 基礎固めが完了した段階 | 45~55 |
| 標準問題精講 | ★★★☆☆ | 難関大対策 | 55~65 |
| 上級問題精講 | ★★★★★ | 最難関大対策 | 65以上 |
入門問題精講は文字通り「入門」であり、数学を学び直したい受験生や、問題を解いた経験がほとんどない人に向けた問題集です。
本書の構成と中身
入門問題精講は、コンパクトで使いやすい構成になっています。
各問題の構成
- 問題
- 精講(解き方の考え方・着眼点の説明)
- 解答(丁寧なステップごとの解法)
- ポイント(重要事項の整理)
特に「精講」の部分が本書の核心です。単に「こう解く」を示すのではなく、「なぜそこに気づくのか」「どこに目をつければいいのか」という思考プロセスを言語化してくれています。
この点が、答えを丸暗記するだけになりがちな参考書との大きな違いです。
また、数学Ⅰ+A合本版は1冊にまとまっており、持ち運びやすく、隙間時間にも使いやすい点も好評です。

入門問題精講のメリット・デメリット
メリット
- 問題数が少ないので完走しやすい:収録問題数が厳選されており、1冊を終わらせる達成感が得られる。白チャートに挫折した人に特におすすめ
- 「精講」が思考力を育てる:解法の暗記ではなく、「どう考えるか」を丁寧に示してくれるため、本質的な理解につながりやすい
- 1冊がコンパクト:薄くて持ち運びやすく、毎日続けやすい
- 解説が読みやすい:難しい言葉を使わず、中学生でもわかる言葉で書かれているため、独学でも進めやすい

デメリット
- カバー範囲が限定的:入試頻出の全パターンを網羅しているわけではなく、次の問題集への移行が必須
- 問題演習量が不足:解説重視のため、同じタイプの問題を反復する演習量は少ない。計算力や処理速度は別途鍛える必要がある
- 共通テストには直接対応しにくい:共通テスト独特の「誘導形式」や「長文読解型問題」への対策は、この1冊では不十分
白チャートvs入門問題精講:どちらを選ぶべきか
受験生からよく聞かれる質問が「白チャートと入門問題精講、どちらをやればいいか」です。一概には言えませんが、以下の基準で選ぶとよいでしょう。
| 比較項目 | 白チャート | 入門問題精講 |
|---|---|---|
| 問題数 | 多い(約500問以上) | 少ない(約150問前後) |
| 解説の丁寧さ | 丁寧 | 非常に丁寧 |
| 網羅性 | 高い | やや低い |
| 1周にかかる時間 | 3〜4ヶ月 | 1〜2ヶ月 |
| 挫折しにくさ | △(分厚い) | ◎(薄い) |
| 向いている人 | 時間があってじっくり取り組める人 | 短期で基礎を固めたい人・挫折しやすい人 |
私の経験上、「とにかく数学が嫌いで手がつかない」という生徒には入門問題精講を、「時間はあるので丁寧に基礎を積みたい」という生徒には白チャートを勧めることが多いです。

東大卒・家庭教師が推奨する入門問題精講の使い方
ステップ1:まず「精講」だけを読む
問題を解く前に、精講(解き方の考え方)だけを読んで、どんな視点で問題を見るべきかを頭に入れます。これにより、単なる「答え合わせ」ではなく「考え方の吸収」ができます。
ステップ2:自力で問題を解く
精講を読んだうえで、実際に紙に書いて解いてみましょう。「わかった気」と「解ける」は別物です。手を動かすことが最も重要です。
ステップ3:解答と照らし合わせる
自分の解法と模範解答を丁寧に比較します。式の変形の仕方や途中のプロセスにも注目してください。「答えが合っていても解法が非効率」なケースもあります。
ステップ4:間違えた問題に印をつけて繰り返す
間違えた問題や怪しかった問題には印をつけ、3日後・1週間後に再演習します。
「解けた」と感じるまで繰り返しましょう。最低でも3周することを目標にしてください。
ステップ5:基礎問題精講へとつなげる
入門問題精講を完璧にこなしたら、同シリーズの「基礎問題精講」に進むのが最もスムーズです。
同じ旺文社のシリーズなので、解説のスタイルや構成に一貫性があり、移行しやすいのが利点です。
学習スケジュールの目安
入門問題精講をどのように組み込むかのスケジュール例を示します。
| 時期 | やること | 目安期間 |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 入門問題精講を1周(例題中心) | 約1ヶ月 |
| 6月 | 入門問題精講を2〜3周(復習重視) | 約1ヶ月 |
| 7月〜9月 | 基礎問題精講へ移行 | 約2〜3ヶ月 |
| 10月〜 | 共通テスト演習・志望校過去問 | 入試直前まで |
このスケジュールは標準的な例です。受験学年の4月スタートを想定していますが、高2の秋から始める場合はより余裕を持って進められます。
入門問題精講を終えたら次は何をすべきか
入門問題精講はゴールではなく、スタート地点です。終えた後のロードマップを確認しておきましょう。
目標大学別のおすすめルート
| 目標 | 推奨ルート |
|---|---|
| 共通テスト5〜6割 | 入門問題精講 → 共通テスト対策問題集 |
| 共通テスト7〜8割 | 入門問題精講 → 基礎問題精講 → 共通テスト演習 |
| 地方国立・日東駒専 | 入門問題精講 → 基礎問題精講 → 標準問題精講 → 過去問 |
| 難関私大・MARCH以上 | 入門問題精講(確認のみ)→ 基礎問題精講 → 標準問題精講 → 過去問 |

よくある失敗パターン
指導経験の中でよく見てきた失敗を3つ紹介します。
1つ目は「精講を読まずに問題だけ解く」パターンです。本書の価値は精講にあります。解答だけを追ってしまうと、普通の問題集と変わらなくなってしまいます。
2つ目は「1周して終わりにしてしまう」パターンです。問題数が少ないからこそ、繰り返し復習する価値があります。1周では定着しないため、必ず複数回回してください。
3つ目は「入門問題精講だけで入試に臨もうとする」パターンです。本書はあくまでも土台づくりの参考書です。基礎固めが終わったら、次のステップの問題集へと必ず移行してください。
FAQs:よくある質問
Q1. 入門問題精講は数学が全くわからない人でも使えますか?
はい、使えます。本書は数学の公式や考え方を「なぜそうなるのか」という観点から丁寧に説明しているため、中学数学が理解できていれば十分取り組めます。ただし、中学数学自体に大きな穴がある場合は、先に中学数学の復習をしてから始めることをおすすめします。
Q2. 入門問題精講と白チャートを両方やる必要はありますか?
基本的には不要です。どちらも「基礎固め用」の教材であるため、1冊をしっかりこなす方が効果的です。どちらを選ぶかは本記事の比較表を参考に判断してください。
Q3. 何周すればいいですか?
最低3周を目安にしてください。1周目は「理解する」、2周目は「自力で解けるか確認する」、3周目は「スムーズに解けるかチェックする」という意識で取り組むと効果的です。
Q4. 数ⅠとAを別々に使うべきですか?合本で問題ありませんか?
合本で問題ありません。入試ではⅠとAは一緒に出題されるため、合本で学習することで自然な形で両分野を関連させながら学べます。ただし、ⅠとAのどちらか一方に大きな苦手がある場合は、そちらを重点的に反復しましょう。
Q5. 入門問題精講だけで共通テストは対応できますか?
共通テスト数ⅠAの基本問題には対応できるようになりますが、本番レベルの問題には不十分です。共通テストは「計算の処理速度」と「誘導に乗る力」が求められるため、本書で基礎を固めた後に共通テスト専用の問題集や過去問演習が必須です。

まとめ
入門問題精講 数学Ⅰ+Aは、数学が苦手な受験生にとって「はじめの一歩」として最適な問題集です。問題数を厳選しつつ、「精講」という形で思考プロセスを丁寧に解説する構成は、短期間で基礎を固めたい人に特に向いています。
大切なのは、精講をしっかり読み、手を動かして解き、繰り返し復習すること。この3つを守って取り組めば、確実に数学の土台が出来上がります。
入門問題精講を完走できたら、自信を持って次のステップへ進んでください。数学は積み上げの科目です。焦らず、着実に。
本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。