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数学の良問問題集とは?基本情報をおさえよう
「数学の良問問題集[数学Ⅰ+A+Ⅱ+B+Ⅲ+C]改訂版」は、旺文社が発行する大学受験向けの数学問題集です。
タイトルに「良問」とある通り、入試頻出かつ本質的な理解を問う問題が厳選されており、ただ解けるだけでなく「なぜそう解くか」を深く理解できる設計になっています。
数ⅠAからⅢCまでを1冊に収録しているのが最大の特徴で、理系受験生にとってはカリキュラム後半の総仕上げに、文系受験生にとってはⅠA・ⅡBの応用演習に活用できる一冊です。
私がこれまで指導してきた受験生の中でも、「チャートを終えた後に何をすればいい?」という悩みをこの一冊で解消したケースは少なくありません。

この問題集のレベルと位置づけ
まず、他の主要問題集との難易度・ポジションを整理しておきましょう。
| 問題集 | 難易度 | 対象偏差値 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 基礎問題精講 | ★★☆☆☆ | 50〜55 | 基礎固め・最短ルート向け |
| 数学の良問問題集 | ★★★☆☆ | 55〜65 | 入試頻出問題の網羅・解説充実 |
| 標準問題精講 | ★★★☆☆ | 58〜65 | 標準〜やや難の演習 |
| 1対1対応の演習 | ★★★★☆ | 60〜68 | 思考力重視・難関大向け |
| やさしい理系数学 | ★★★★☆ | 63〜70 | 難関理系の応用演習 |
良問問題集は「基礎は固まったが、入試問題になると解けない」という壁を乗り越えるための橋渡し的な位置づけです。偏差値55〜65の受験生にとって最も費用対効果が高い問題集といえます。

本書の構成と中身
本書の構成を理解すると、どこから手をつけるべきかが見えてきます。
1問あたりの構成
- 問題(入試過去問または入試典型問題)
- 精講(問題のポイント・考え方の解説)
- 解答(模範解答)
- 研究(発展的な補足・別解など)
特筆すべきは「精講」のパートです。単なる解法の手順説明ではなく、「どこに着目するのか」「なぜこのアプローチが有効なのか」を丁寧に説明してくれます。問題を解き終えた後に精講を読むことで、その問題の「本質」をつかむことができます。
収録問題数の目安
ⅠAからⅢCまで全範囲で200〜250問程度が収録されており、1冊で全範囲をカバーできるコンパクトさも魅力の一つです。

数学の良問問題集のメリット・デメリット
メリット
- 解説の質が高い:精講パートが充実しており、解法暗記ではなく「考え方」が身につく
- 1冊で全範囲をカバー:ⅠAからⅢCまで収録されており、理系受験生が総仕上げに使いやすい
- 問題の質が厳選されている:無駄な問題がなく、1問ごとの学習密度が高い
- 入試頻出テーマと対応している:実際の大学入試で繰り返し出題されるテーマを中心に構成されている
- コンパクトで扱いやすい:1冊にまとまっているため、繰り返し演習に向いている
デメリット
- 基礎が不十分だと使いこなせない:精講を読んでも理解できないケースが出てくるため、チャートレベルの基礎は前提として必要
- 最難関大(東大・京大・東工大など)には物足りない:難関大学の入試問題を解くには、本書の後に「1対1」や「やさしい理系数学」などへ進む必要がある
- 解答の詳しさにばらつきがある:問題によっては解答がやや省略気味で、独学には難しいと感じる部分もある
- ⅢCは問題数が少なめ:理系受験生にとってはⅢCの演習量がやや不足する可能性がある

東大卒・家庭教師が推奨する使い方
実際に受験生に指導してきた経験から、正しい使い方を段階別に紹介します。
ステップ1:まず問題だけを見て自力で解く(15〜20分)
精講や解答は見ずに、自力で解く時間をしっかり確保しましょう。「わからなければすぐに答えを見る」という習慣がついてしまうと、入試本番で応用が利かなくなります。手が完全に止まった場合は、「精講」だけをヒントとして読み、もう一度挑戦してみましょう。
ステップ2:精講を熟読する(インプット)
自力で解いた後、または行き詰まった後に精講を丁寧に読みます。ここで重要なのは「自分の解法と何が違うか」を意識しながら読むことです。正解した問題の精講も必ず読んでください。より洗練された考え方が載っていることがほとんどです。
ステップ3:解答と自分の答案を比較する
正解・不正解に関わらず、模範解答と自分の解答を突き合わせて「どこで差が生じたか」を分析します。計算ミスなのか、方針の違いなのか、公式の使い方が違ったのかを明確にしましょう。
ステップ4:「研究」パートも目を通す
余裕があれば研究パートも読んでおきましょう。別解が載っている場合は、複数の視点を持つことで応用力が格段に上がります。難関大を目指している場合、この別解の習得が差をつけるポイントになります。
ステップ5:2〜3周する(復習)
1周目は「初見で考える力を測る」フェーズ、2周目は「解法パターンを定着させる」フェーズ、3周目は「スピードと正確性を上げる」フェーズです。3周することで、初めて本書のレベルが「自分の武器」になります。

志望校別の活用ガイド
| 志望校レベル | 良問問題集の使い方 | 次のステップ |
|---|---|---|
| 共通テスト〜地方国立 | 全問題を丁寧に2周 | 志望校過去問へ直行 |
| 中堅私大(MARCHなど) | 全問題を2〜3周 | 志望校の過去問演習 |
| 難関国立(旧帝大など) | 全問題を2周+研究まで精読 | 1対1対応・やさしい理系数学 |
| 最難関(東大・京大など) | 基礎確認として1周 | ハイレベル問題集+過去問 |
取り組む順番とスケジュールの目安
高校3年生・4月スタートの場合(理系)
- 4〜6月:チャート(基礎固め)を完成させる
- 7〜9月:良問問題集を1周目(夏休みを活用)
- 10〜11月:良問問題集2周目+志望校過去問開始
- 12〜1月:弱点補強+共通テスト対策
- 2〜3月:志望校の過去問集中演習
1日5〜6問を目安に進めると、夏休み中に1周することは十分可能です。

よくある失敗パターン
家庭教師として何人もの受験生を見てきた中で、この問題集での典型的な失敗が3つあります。
1つ目は「基礎が固まらないまま使い始めるケース」です。良問問題集はあくまで標準〜応用レベルの問題集です。チャートレベルの基礎問題でまだ手こずっている段階では、精講を読んでも理解が追いつきません。焦らず基礎固めを先に済ませましょう。
2つ目は「1問に時間をかけすぎるケース」です。1問に30分以上かけても解けない場合は、いったん精講を見てヒントをもらう方が効率的です。詰まりすぎると時間のロスになるだけでなく、モチベーション低下にもつながります。
3つ目は「1周で終わりにするケース」です。1周しただけでは問題の定着率は低く、2〜3周しないと「自分の力」にはなりません。コンパクトな問題集だからこそ、繰り返しやすいという強みを最大限に活かしてください。

FAQs:よくある質問
Q1. 青チャートと良問問題集はどちらが先ですか?
必ず青チャート(または黄チャート)が先です。良問問題集は基礎固め後の「演習・応用」フェーズに使うものです。青チャートの例題が7〜8割自力で解けるようになってから取り組むのが理想的なタイミングです。
Q2. 文系でもこの問題集は使えますか?
使えます。ただし、文系受験生はⅢCの範囲は不要なので、ⅠA・ⅡBの部分だけ取り組めばOKです。MARCHや関関同立レベルの数学対策としては十分な難易度があります。
Q3. 基礎問題精講と良問問題集はどちらがいいですか?
目的が違います。基礎問題精講は「基礎を最短で固める」ための問題集で、良問問題集は「入試レベルの応用力をつける」ための問題集です。理想は基礎問題精講を終えてから良問問題集に進むことです。
Q4. 1周するのにどのくらいかかりますか?
1日5問ペースで進めると、全範囲で約1.5〜2ヶ月かかります。夏休みなど集中できる期間なら1ヶ月以内での1周も可能です。時間に余裕を持ってスケジュールを組むことをおすすめします。
Q5. 改訂版と旧版の違いは何ですか?
2022年施行の新学習指導要領への対応が主な変更点です。数学Cの復活(ベクトル・行列など)に伴う問題の追加・修正が行われています。これから購入するなら、必ず「改訂版」を選んでください。
Q6. 数ⅢCが苦手です。この問題集だけで対応できますか?
良問問題集のⅢCは問題数がやや少ないため、ⅢCに特化した対策をしたい場合は「数学Ⅲの問題精講」や「理系数学の良問プラチカ(Ⅲ)」と並行して使うのが効果的です。

まとめ
「数学の良問問題集(旺文社・改訂版)」は、基礎固めを終えた受験生が入試レベルへステップアップするために最適な一冊です。解説の質の高さ、問題の厳選ぶり、1冊で全範囲をカバーできるコンパクトさが揃っており、「次に何をやればいいかわからない」という受験生には真っ先に勧める問題集の一つです。
ただし、この問題集はゴールではありません。志望校のレベルに合わせて次のステップも見据えながら、計画的に取り組んでいきましょう。正しい使い方と繰り返しの演習があれば、この一冊が確実にあなたの数学力を引き上げてくれます。
本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。