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英文解釈教室〈新装版〉とは?
「英文解釈教室」は、伊藤和夫氏が著し研究社から出版された、英語長文読解の最高峰と呼ばれる参考書です。1977年の初版から長年にわたり受験生に読み継がれ、現在は新装版として入手できます。
一言で言えば、英文の「構造を読み解く力」を徹底的に鍛える参考書です。単語を拾って意味を推測するような読み方ではなく、文の構造(主語・動詞・修飾関係)を正確に把握するための「英文解釈」の技術を、体系的に習得できます。
私が家庭教師として指導してきた受験生の中でも、英語の読解力に壁を感じていた生徒がこの一冊に取り組むことで、長文の見え方が劇的に変わる場面を何度も目にしてきました。ただし、それは正しい使い方をした場合に限ります。

英文解釈教室のレベルと立ち位置
まず大前提として、英文解釈教室は難易度の高い参考書です。対象は難関大学を志望する受験生であり、英文法の基礎が完成していない段階で手をつけると、消化不良になるリスクがあります。
英語長文・解釈系参考書のレベル比較表
| 参考書名 | 難易度 | 対象レベル | 目標偏差値 |
|---|---|---|---|
| 肘井学の読解のための英文法 | ★★☆☆☆ | 基礎〜標準 | ~55 |
| 基本はここだ!(西きょうじ) | ★★☆☆☆ | 基礎固め | ~55 |
| ポレポレ英文読解プロセス50 | ★★★☆☆ | 標準〜難関 | 55〜65 |
| 英文解釈教室〈新装版〉 | ★★★★★ | 難関〜最難関 | 65以上 |
| テーマ別英文読解教室 | ★★★★☆ | 難関 | 60〜65 |
英文解釈教室は偏差値65以上を目指す受験生が、読解の精度を極限まで高めるために使う参考書です。東大・京大・早慶の英語で高得点を狙う受験生に向いています。

英文解釈教室の構成と中身
英文解釈教室は全20章で構成されており、英文の構造を解析するための技術が体系的に並んでいます。
主な章立て(抜粋)
- 文の骨格(主語・動詞・目的語・補語)
- 修飾語句の扱い方
- 節の認定(that節・関係詞節・副詞節)
- 比較構文
- 省略・倒置・強調構文
- 難解な文構造の総合練習
各章は「解説」→「例文」→「演習問題」の流れで進みます。例文はすべて本物の英文から取られており、文学・哲学・評論など、大学入試に出やすいジャンルの英文が多く収録されています。
解説は日本語で丁寧に書かれていますが、内容は決して易しくありません。伊藤和夫氏の論理的な文体に慣れるまで、最初は読み解くだけで時間がかかることを覚悟してください。

英文解釈教室のメリット・デメリット
メリット
- 英文構造の把握力が根本から変わる:なんとなく読んでいた英文が、主語・動詞・修飾関係を瞬時に見抜けるようになる
- 難関大の和訳問題に直結する:東大・京大の英語で問われる「正確な和訳」は、この参考書で養う技術そのものが問われる
- 一生使える読解の基盤になる:大学入学後の英語学習にも応用できる、本物の読解力が身につく
- 体系的に構成されている:場当たり的な解説ではなく、英語の構造を論理的に整理した体系が学べる

デメリット
- 難易度が高く挫折しやすい:英文法の基礎が固まっていない状態では理解できない箇所が続出する
- 例文が難解:収録されている英文は本格的な評論・文学で、単語レベルも高い
- 時間がかかる:1周するだけで3〜4ヶ月かかることも珍しくない
- 共通テストには直結しない:共通テスト形式のマーク問題には直接の効果が出にくく、記述式の難関大向け

東大卒・家庭教師が勧める正しい使い方
英文解釈教室は「ただ読む」だけでは効果が出ません。私が実際に指導で使ってきた方法を段階的に紹介します。
ステップ1:まず英文を自分で解釈する
解説を読む前に、例文を見て自分なりに構造を分析してみましょう。「この文の主語はどれか」「この that はどう機能しているか」を手を動かしながら考えることで、解説を読んだときの理解度が格段に上がります。
ステップ2:解説をノートにまとめながら読む
伊藤氏の解説は情報量が多いため、流し読みでは抜け落ちます。重要な考え方はノートに書き出し、「自分の言葉で言い換える」練習をしてください。書くことで記憶への定着率が上がります。
ステップ3:例文を音読する(構造を意識しながら)
正しく構造が理解できたら、その例文を音読します。ポイントは「主語・動詞・修飾の切れ目」を意識しながら読むことです。構造と音読を結びつけることで、読解スピードも上がります。
ステップ4:演習問題で応用する
各章末の演習問題は、章で学んだ構造が自然に使えるかを試す場所です。解けなかった問題は、解説を読んだ後に必ず自分で再解釈してから次に進みましょう。
ステップ5:1ヶ月後に全体を見直す
全章を終えたら、最初の章に戻って復習します。最初は難しく感じた箇所が、全体を学んだ後には驚くほどすんなり理解できることがあります。

英文解釈教室を始める前に確認すべきこと
英文解釈教室に取り組む前に、以下の条件が揃っているかを必ず確認してください。
| 確認項目 | 基準 | チェック |
|---|---|---|
| 英単語 | 英単語ターゲット1900レベルが8割定着している | □ |
| 英文法 | 大岩の英文法・NextStageなどを1周完了している | □ |
| 英語偏差値 | 模試で55以上が安定している | □ |
| 志望校レベル | 難関私大・旧帝大・東大京大を目指している | □ |
| 残り時間 | 本番まで最低6ヶ月以上ある | □ |
3つ以下しかチェックできなかった場合は、まず基礎参考書(ポレポレや肘井の読解英文法)から始めることをおすすめします。

英文解釈教室と他参考書の使い分け
英文解釈教室はどの参考書と組み合わせるべきか、志望校別に整理します。
| 志望校 | おすすめルート |
|---|---|
| 東大・京大 | ポレポレ → 英文解釈教室 → 過去問20年分 |
| 早稲田・慶應 | 基本はここだ!→ ポレポレ → 英文解釈教室(余裕があれば) |
| 旧帝大(東北・名古屋・大阪など) | ポレポレ → 英文解釈教室 → 大学別対策 |
| 地方国立大 | ポレポレで十分(英文解釈教室は不要なケースが多い) |
| 共通テストのみ | 英文解釈教室は不要。長文速読の演習を優先する |
私の指導経験では、英文解釈教室が本当に必要な受験生は全体の2〜3割程度です。志望校の過去問を見て、「精密な和訳問題」や「複雑な構文の読解」が問われていなければ、他の参考書に時間を使った方が効率的です。

よくある失敗パターンと対策
失敗①「難しすぎて1章で止まる」
対策:まず「基本はここだ!」や「ポレポレ」を完成させてから取り組む。英文解釈教室は到達点であって、出発点ではありません。
失敗②「解説を読んで満足してしまう」
対策:必ず自分の手で英文を解析してから解説を読む順番を守る。受動的に読むだけでは構造把握の力は身につかない。
失敗③「単語がわからず文構造の分析ができない」
対策:単語帳を並行して進める。単語力が不足していると、構造以前の問題で詰まってしまう。
失敗④「1周してすぐ次の参考書に移る」
対策:2周・3周が前提。1周目は「理解する」、2周目は「使いこなす」、3周目で「体に染み込ませる」イメージで取り組む。

FAQs:よくある質問
Q1. 英文解釈教室は古い参考書ですが、今でも使えますか?
十分使えます。英語の文構造の原則は変わりません。ただし、単語の難易度や例文のジャンルが古い印象を受ける部分はあります。あくまでも「構造把握の技術を学ぶ場所」と割り切れば、現代の入試にも完全に対応できます。
Q2. ポレポレと英文解釈教室はどちらをやるべきですか?
どちらも最終的にやりたい場合、順番は「ポレポレ → 英文解釈教室」が正解です。ポレポレは50題でコンパクトに解釈の技術を習得でき、英文解釈教室の難解な解説を理解するための準備になります。時間が限られている場合はポレポレだけでも十分なケースが多いです。
Q3. 英文解釈教室を終えたら何をすればいいですか?
志望校の過去問演習に移行してください。英文解釈教室で鍛えた構造把握力を、実際の入試問題で使いこなす練習が必要です。英文解釈教室で身につけた技術が本番で活きるかどうかは、過去問演習の量にかかっています。
Q4. 1日どのくらい時間をかければいいですか?
1日1〜2例題+解説熟読で1〜1.5時間が目安です。急いで進めるより、1例題を完全に理解することを優先してください。20章全体で1日1例題ペースなら、3〜4ヶ月で1周できます。
Q5. 新装版と旧版の違いはありますか?
内容の本質的な差はありません。新装版は組版・レイアウトが見やすく改訂されており、現在入手できる版です。中古で旧版を買う必要はなく、新装版で問題ありません。

まとめ
英文解釈教室〈新装版〉は、難関大の英語で「正確に読む力」を身につけたい受験生にとって、今なお最高峰の参考書の一つです。ただし、それは正しい順番で・正しい使い方をした場合に限ります。
基礎が固まっていない段階では、まず基礎参考書を完成させること。英文解釈教室を始めたら、焦らず手を動かして、繰り返すこと。この2点さえ守れば、英文の見え方が根本から変わる体験ができるはずです。
難しいからこそ、やり遂げたときの読解力は本物です。志望校合格に向けて、着実に積み上げていきましょう。
本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。