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基礎問題集

【東大卒が解説】黄チャート(解法と演習Ⅰ+A)の使い方・レベル・勉強法を徹底解説

チャート式 解法と演習 数学I+A

黄チャートとは?基本情報をおさえよう

「黄チャート」とは、数研出版が発行する「チャート式」シリーズの中で、基礎〜標準レベルをカバーする参考書です。

正式名称は「改訂版 チャート式 解法と演習 数学I+A 」。表紙が黄色いことから「黄チャート」と呼ばれています。

白チャートよりは難しく、青チャートよりは取り組みやすいポジションにあり、「数学が極端に苦手ではないが、入試に向けて体系的に基礎を固めたい」受験生にとってのベストチョイスです。

私がこれまで指導してきた受験生の中でも、最も多くの生徒が手にとった参考書がこの黄チャートです。


チャート式の色別レベル比較表

黄チャートを正しく選ぶために、チャート式全体の位置づけを確認しましょう。

通称難易度対象レベル目標偏差値
白チャート★☆☆☆☆数学が苦手・超基礎固め~50
黄チャート★★☆☆☆基礎〜標準・入試対応の入口50~60
青チャート★★★☆☆難関大志望・応用力強化55~65
赤チャート★★★★★最難関大志望・発展問題65以上

黄チャートが向いているのは、「定期テストでは50〜70点前後」「公式は知っているが応用が難しい」「地方国立大・日東駒専・産近甲龍などを目指している」受験生です。


黄チャートの構成と中身

黄チャートを使いこなすには、まず構成を把握することが大切です。

各章の構成

  • 基本事項(公式・定理の整理)
  • 基本例題(基礎レベルの典型問題)
  • 重要例題(入試頻出パターン)
  • 練習問題
  • 章末問題(EXERCISESと総合演習)

各例題には「CHART(解法の指針)」「SOLUTION(解答)」「LECTURE(補足・注意点)」が揃っており、「なぜその解法を使うのか」が丁寧に説明されています。白チャートほど手取り足取りではなく、青チャートほど難解でもない、絶妙なバランスが黄チャートの最大の特徴です。


黄チャートのメリット・デメリット

メリット

  • 入試の基礎〜標準レベルをしっかりカバー:共通テストや中堅大学の入試問題に対応できるレベルまで到達できる
  • 解説が丁寧かつ無駄がない:白チャートほど易しすぎず、理解のプロセスが自然と身につく解説量
  • 例題の質が高い:典型問題が厳選されており、「これを解けば入試で通用する」という問題が揃っている
  • 問題数のバランスが良い:青チャートより少ない問題数で、効率よく網羅性を担保している
  • どの大学でも使える汎用性:共通テスト・地方国立・MARCHレベルまで幅広く対応

デメリット

  • 難関大には物足りない:旧帝大・早慶上智レベルの問題は黄チャートだけでは対応しきれない
  • 白チャートより急に難しく感じることがある:数学が苦手な受験生は最初の例題でつまずく可能性がある
  • 分量が多く挫折しやすい:1冊で600問以上あるため、計画なく進めると途中で止まりやすい
  • 暗記に頼りすぎると伸び悩む:パターン暗記だけで進めると、少し捻った問題に対応できなくなる

東大卒・家庭教師が推奨する黄チャートの使い方

実際の指導経験をもとに、段階別の正しい使い方を紹介します。

ステップ1:基本事項を確認してから例題へ(理解先行)

各章の冒頭にある「基本事項」を必ず読んでから例題に進みましょう。公式の丸暗記ではなく、「なぜその公式が成り立つのか」を意識することで、応用力が格段に上がります。

ステップ2:例題の「CHART(指針)」を見てから自力で解く

解答全体を見る前に、まず指針だけを確認し、そこから自分で解いてみることが重要です。「考える筋道」を自分でたどる習慣をつけることが、黄チャートを効果的に使う最大のポイントです。

ステップ3:解けなかった問題に印をつけ、繰り返し解く

全問正解を目指すより、「解けなかった問題を着実に減らす」意識で進めましょう。解けなかった問題には「×」印をつけ、2周目・3周目で重点的に取り組みます。

ステップ4:基本例題→重要例題の順で進める

いきなり重要例題から手をつけるのはNGです。基本例題で解法パターンを理解してから、重要例題で応用の幅を広げる流れが効果的です。

ステップ5:章末問題で仕上げの確認

各章の例題が一通り解けたら、章末のEXERCISESに取り組みます。ここで解けない問題があれば、該当の例題に戻って復習します。


黄チャートに向いている人・向いていない人

向いている人向いていない人
定期テストで50〜70点前後の受験生数学がほとんどできず、基礎の基礎から始めたい人
共通テストで安定した得点を取りたい旧帝大・東大・京大・一橋・東工大志望者
日東駒専・産近甲龍・地方国立を目指している早慶上智・MARCHでも数学で高得点を狙いたい人
数学の典型問題を体系的に整理したいすでに青チャートを使っていて物足りない人
白チャートを終えてステップアップしたい受験まで残り数ヶ月で網羅系参考書を1周する時間がない人

黄チャートを終えたら次は何をすべきか

黄チャートは「土台」と「入試対応力の入口」を同時に担う参考書ですが、終わった後の進め方も重要です。

目標大学別のおすすめ次のステップ

目標黄チャート後の推奨ルート
共通テスト7割黄チャート → 共通テスト過去問・予想問題集
共通テスト8〜9割黄チャート → 共通テスト対策問題集 → 過去問演習
日東駒専・産近甲龍黄チャート → 志望校過去問
MARCH・関関同立黄チャート → 文系数学の良問プラチカ or 1対1対応の演習
地方国立(中堅)黄チャート → 標準問題精講 → 過去問
旧帝大・難関国立黄チャート(基礎確認)→ 青チャート or 1対1対応 → 過去問

黄チャートと青チャートはどちらを選ぶべきか?

受験生から最も多く受ける質問がこれです。私の結論はシンプルです。

今、数学の問題を見て解法の方向性が浮かぶかどうかを基準にしてください。

浮かばないなら黄チャート。浮かぶが計算や応用でつまずくなら青チャート。迷ったら黄チャートを選ぶ方が、最終的な完成度が高くなるケースが多いです。

難しい参考書を中途半端に終わらせるより、易しい参考書を完璧に仕上げる方が、入試では圧倒的に有利です。


よくある失敗パターン

家庭教師として多くの受験生を見てきた中で、黄チャートの使い方でよく見られる失敗を3つ紹介します。

1つ目は「全問を1周しようとして途中で力尽きる」パターンです。黄チャートは600問以上あります。まず「基本例題だけ」に絞って1周し、その後に重要例題・章末問題と広げていくのが現実的な攻略法です。

2つ目は「解答を読んで理解した気になるだけで終わる」パターンです。理解と再現は別物です。解説を読んで「なるほど」と思っても、自分の手でゼロから再現できなければ本当に身についていません。必ずノートに手を動かす習慣をつけましょう。

3つ目は「1周して終わりにしてしまう」パターンです。1周目で完全に覚えられる受験生はほぼいません。2周目・3周目で「×のついた問題だけ解き直す」という方法が、最短距離での習得につながります。


FAQs:よくある質問

Q1. 黄チャートだけで共通テストは乗り越えられますか?

共通テスト数ⅠAで6〜7割を目指すなら、黄チャートをしっかり仕上げれば十分対応できます。8割以上を目指すなら、黄チャートに加えて共通テスト専用の演習問題集(過去問・予想問題集)を組み合わせることをおすすめします。

Q2. 黄チャートと白チャート、どちらから始めるべきですか?

中学数学に不安がある、または定期テストで50点以下が続いているなら白チャートから始めましょう。「公式は一通り知っていて、授業についていける」レベルなら黄チャートから入れます。迷ったら白チャートの最初の章を開いてみて、スラスラ解けるかどうかで判断するのが確実です。

Q3. 黄チャートを1周するのにどれくらいかかりますか?

基本例題だけに絞って1日10問ペースで進めると、数ⅠAで約2〜3ヶ月が目安です。重要例題・練習問題・章末問題まで含めると4〜5ヶ月かかります。高2の秋から始めるのが理想的なタイミングです。

Q4. 黄チャートを完璧にしたら偏差値はどのくらいになりますか?

本当に完璧に仕上げれば、模試で偏差値55〜60前後を安定して取れるようになるケースが多いです。ただし「完璧」とは、例題を見た瞬間に解法が浮かび、自力でゼロから再現できる状態を指します。

Q5. 数ⅠとAは分けて進めるべきですか?セットで進めるべきですか?

並行して進めるのがおすすめです。ⅠとAは入試でセットで出題されますし、相互に関連している単元(二次関数と場合の数など)もあります。ただし、どちらか一方が極端に苦手な場合は、苦手な方を優先して集中的に取り組む判断も有効です。

Q6. 黄チャートの新課程版と旧課程版はどう違いますか?

2022年以降の学習指導要領改訂により、数学の内容が一部変更されています。現在高校に在籍している受験生は必ず新課程版(2022年以降対応)を使用してください。購入前にカバーや奥付で版を確認する習慣をつけましょう。


まとめ

黄チャート(チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A)は、大学受験の数学において「基礎を固めながら入試レベルの入口まで到達できる」という、非常にバランスの取れた参考書です。

ただし、使い方を間違えると「やった気になるだけ」で終わってしまいます。手を動かして解く・繰り返す・解けない問題を徹底的に潰す、この3点を守れば、黄チャートは必ず大きな武器になります。

私がこれまで指導してきた受験生の中にも、黄チャートを丁寧にやり切ったことで、偏差値を10以上伸ばした生徒が何人もいます。自分のレベルに合った参考書を、正しい方法で使い込むことが、数学攻略の最短ルートです。


本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。

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