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CanPass化学とは?基本情報をおさえよう
「国公立標準問題集 CanPass化学基礎+化学〈改訂版〉」(駿台文庫)は、国公立大学の二次試験を目指す受験生向けに設計された化学の問題集です。タイトルの「CanPass」には「合格できる」という意味が込められており、国公立大の標準レベルの問題を効率よく演習できることが最大の特徴です。
化学基礎と化学の両方を1冊でカバーしており、理論化学・無機化学・有機化学のすべての分野が収録されています。私がこれまで指導してきた受験生の中でも、「基礎はできているのに入試問題になると解けない」という壁を乗り越えるきっかけになった参考書として、特に国公立志望の生徒によく勧めてきた1冊です。

CanPass化学の基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出版社 | 駿台文庫 |
| 対象レベル | 国公立大学二次試験・標準 |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 問題数 | 約100題(テーマ別) |
| 構成 | 化学基礎+化学(全範囲) |
| 特徴 | 国公立二次の良問を厳選・詳しい解説 |
| 向いている時期 | 高3夏〜秋(基礎固め後) |

CanPass化学の対象レベルと立ち位置
受験化学の問題集は数多くありますが、CanPassはどのポジションに当たるのかを確認しておきましょう。
| 問題集 | 難易度 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| セミナー化学 | ★★☆☆☆ | 基礎固め全般 | 学校採用が多い定番問題集 |
| リードLightノート | ★★☆☆☆ | 基礎〜標準 | 書き込み式・インプット向き |
| CanPass化学 | ★★★☆☆ | 国公立標準 | 国公立二次の良問特化 |
| 重要問題集(数研) | ★★★☆☆ | 国公立〜難関私大 | 問題数が多い・網羅性高い |
| 標準問題精講 | ★★★★☆ | 難関国公立 | 解説が詳しい・やや難 |
| 化学の新演習 | ★★★★★ | 最難関大 | 東大・京大志望向け |
CanPassは「基礎は固まったが、入試問題レベルに届いていない」という層に最もフィットする問題集です。重要問題集と比べると問題数はやや少ない分、解説の質が高く、1問1問をしっかり消化できる作りになっています。
CanPass化学の構成と中身
CanPassは大問形式で構成されており、各テーマ(例:化学平衡、酸化還元、有機化合物の構造決定)ごとに問題が1〜2題まとまっています。
1問あたりの構成
- 問題文(実際の国公立二次試験に近い形式)
- 解答・解説(なぜその解法を使うかの根拠まで記載)
- 関連知識の整理(チェックすべきポイントのまとめ)
特筆すべきは解説の充実度です。単に「こう解く」だけでなく、「なぜこのアプローチを取るのか」という思考プロセスまで丁寧に書かれており、家庭教師なしでも自習で進めやすい設計になっています。

CanPass化学のメリット・デメリット
メリット
- 国公立二次の良問が厳選されている:全国の国公立大学の過去問から質の高い問題が選ばれており、傾向対策としても機能する
- 解説が圧倒的に丁寧:思考の流れを追いながら解説が書かれているため、「解法の丸暗記」ではなく「考え方の習得」ができる
- 化学基礎+化学が1冊で完結:範囲を行き来しやすく、分野をまたいだ総合問題にも対応しやすい
- 問題数が適切:100題前後という量は、多すぎず少なすぎず、受験直前の時期にも1周しやすい
- 記述対策ができる:国公立二次特有の記述・論述形式の問題が収録されており、文章で説明する力が鍛えられる

デメリット
- 基礎がない状態では使えない:化学の基礎知識(教科書レベル)が前提となっており、インプットが不十分な段階で使っても消化できない
- 私立大には特化していない:マーク式中心の私立大受験にはやや相性が悪い。国公立志望専用と考えた方がよい
- 最難関大には物足りない:東大・京大・東工大レベルを目指すなら、本書を終えたあとに「化学の新演習」などへステップアップが必要
- 化学が得意な人には簡単すぎる可能性がある:偏差値65以上の受験生には物足りないと感じる問題も含まれている

東大卒・家庭教師が推奨するCanPassの使い方
CanPassを最大限に活かすための使い方を、ステップ別に解説します。
前提:いつから始めるべきか
CanPassを始める前に、以下の条件をクリアしていることが理想です。
- 教科書の内容が一通り理解できている
- セミナー化学やリードLightノートなどの基礎問題集を1周している
- モル計算・化学式の読み取り・酸塩基の基本が定着している
高3であれば夏休み以降、遅くとも10月中旬には着手したいです。
ステップ1:問題を時間を測って解く
まずは問題だけを見て、自力で解いてみましょう。解答を見る前に「どこまで自分で考えられるか」を試すことが重要です。目安は大問1題あたり15〜20分。
ステップ2:解説を精読する
解けた問題も、解けなかった問題も、必ず解説を丁寧に読んでください。「なぜこの式を立てるのか」「どこで方針を決めたのか」を理解することが、次の問題に活きてきます。
ステップ3:解けなかった問題に印をつけて管理する
解けなかった・自信がなかった問題には印(✗や△)をつけておきましょう。2周目以降は印のついた問題だけを重点的に演習すると、効率よく弱点を潰せます。
ステップ4:1週間後に再演習
解説を読んで理解しても、1週間後にはほとんど忘れます。解けなかった問題は必ず1週間以内に再演習し、自力で解けるかどうかを確認してください。
ステップ5:志望校の過去問に接続する
CanPassを2周した後は、志望校の過去問演習に移ります。CanPassで培った「思考プロセス」を活かして、見たことのない問題にも対応できるかを過去問で試しましょう。

CanPassに向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 国公立大学の二次試験を受験する | 私立大学専願(マーク式中心) |
| 基礎問題集を1冊終えた | 教科書レベルの理解も怪しい |
| 偏差値50〜65の間にいる | 偏差値65以上で難問演習がしたい |
| 記述・論述問題に慣れていない | 東大・京大・東工大を志望している |
| 時間をかけて1問を深く考えたい | とにかく問題数をこなしたい |
目標大学別のおすすめ使い方と後続参考書
| 目標 | CanPassの使い方 | 次のステップ |
|---|---|---|
| 共通テスト7〜8割 | 必須ではないが、二次対策で力がつけば共テも上がる | 共通テスト過去問・予想問題 |
| 地方国公立(広島・岡山など) | CanPassを2周して定着させれば十分 | 志望校過去問10年分 |
| 中堅国公立(神戸・横国など) | CanPassを丁寧に消化し、論述力を強化 | 標準問題精講 → 過去問 |
| 難関国公立(東北・名大など) | CanPassを基礎とし、ハイレベル問題集に接続 | 化学の新演習 → 過去問 |
| 東大・京大・東工大 | CanPassは確認程度に留め、早めに難問演習へ | 化学の新演習・過去問 |

よくある失敗パターンと対策
私が指導してきた受験生がはまりやすい失敗を3つ紹介します。
1つ目は「解説を読んでわかった気になる」パターンです。解説を読むと理解した気になりますが、それは「見て理解した」だけです。必ず数日後に何も見ずに再度解いて、本当に解けるかを確認することが重要です。
2つ目は「全問を同じペースで丁寧にやりすぎる」パターンです。得意分野の問題に時間をかけすぎて、苦手分野に手が回らなくなります。印をつけて管理し、弱点に時間を集中させましょう。
3つ目は「基礎が固まる前に始めてしまう」パターンです。CanPassは応用問題集なので、基礎知識がないと解説を読んでも意味がわかりません。「セミナー化学でインプット→CanPassでアウトプット」の順番を守ることが大切です。

FAQs:よくある質問
Q1. CanPass化学と重要問題集はどちらがいいですか?
国公立大学志望で「解説の質を重視したい」「自習で使いたい」ならCanPassがおすすめです。一方、「問題数を多くこなしたい」「難関私大も受ける」なら重要問題集の方が合います。どちらを選ぶかは、志望校と現在の学力によって判断してください。
Q2. CanPassは何周すればいいですか?
最低2周を目標にしてください。1周目は全問に取り組み、解けなかった問題を記録。2周目は解けなかった問題に絞って演習します。時間がある場合は、直前期に3周目として全問を素早く流すと、さらに定着度が上がります。
Q3. 化学基礎だけの対策にも使えますか?
使えますが、本書は化学基礎+化学の融合問題も含まれているため、化学基礎単体の対策には少し過剰な内容になります。化学基礎のみの試験(例:共通テストのみ)を受ける場合は、別途化学基礎特化の問題集を使う方が効率的です。
Q4. いつまでにCanPassを終わらせるべきですか?
遅くとも11月末には終わらせることをおすすめします。12月以降は志望校の過去問演習に集中できるよう、問題集の仕上げはそれまでに済ませるのが理想です。夏休みから始めれば、余裕をもって2周できます。
Q5. CanPassの改訂版は旧版と何が変わりましたか?
改訂版では、新課程の学習指導要領に対応した内容に更新されています。特に有機化学の分野や探究活動に関連する問題が整理されており、現行の入試傾向に合わせた問題構成になっています。購入する際は必ず「改訂版」の表記を確認してください。

まとめ
CanPass化学基礎+化学は、国公立大学の二次試験を目指す受験生が「基礎から入試問題レベルへ」ジャンプするための橋渡しとして、非常に優秀な問題集です。
大切なのは、解説を読むだけで終わらせないこと。「解けなかった問題を、時間をおいて自力で解けるようになる」まで繰り返すことが、CanPassを使い切るゴールです。
国公立の化学は、思考プロセスを問う問題が多く、暗記だけでは太刀打ちできません。CanPassで「考え方の型」を身につけることで、初見の問題にも対応できる真の実力がついてきます。
夏を過ぎたら、ぜひCanPassを手に取ってみてください。
本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。