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【東大卒が徹底解説】鎌田の理論化学・福間の無機化学・鎌田の有機化学(Doシリーズ)の使い方・評判・勉強法

鎌田の理論化学の講義

Doシリーズとは?3冊の基本情報

「大学受験Doシリーズ」は、旺文社が発行する化学の参考書シリーズです。化学の全範囲を3冊で網羅しており、多くの受験生・塾講師・家庭教師に支持されています。

  • 鎌田の理論化学の講義(三訂版):化学の計算・理論分野を担当
  • 福間の無機化学の講義(五訂版):暗記が多い無機化学を整理
  • 鎌田の有機化学の講義(五訂版):有機化合物の構造と反応を解説

私がこれまで家庭教師として担当してきた理系受験生の多くが、この3冊を軸に化学の偏差値を大きく伸ばしてきました。「化学は暗記科目」と思いがちですが、このシリーズは「なぜそうなるのか」という理解を重視しており、丸暗記に頼らない学習が可能です。


Doシリーズ3冊の比較一覧

書名著者担当分野難易度ページ数の目安特徴
鎌田の理論化学の講義鎌田真彰理論化学★★★☆☆約290ページ計算の根拠・考え方を丁寧に解説
福間の無機化学の講義福間智人無機化学★★☆☆☆約190ページ暗記事項を体系化・図解で整理
鎌田の有機化学の講義鎌田真彰有機化学★★★☆☆約260ページ反応メカニズムを構造から理解

3冊合わせて化学の全範囲(化学基礎+化学)をカバーしています。高校化学の授業を一通り終えた後、受験勉強の「再構築期」に使うのが最も効果的なタイミングです。


各冊の特徴と詳しい内容

鎌田の理論化学の講義

理論化学は、化学の中で最も「計算力」と「概念理解」が求められる分野です。モル計算・化学反応式・酸塩基・酸化還元・電気化学・気体・熱化学など、計算問題のオンパレードです。

この本の最大の特徴は、公式を丸暗記させるのではなく「なぜその式が成り立つのか」を説明してくれる点です。例えば、化学平衡や電離定数の扱いも、ただ式を当てはめるのではなく、粒子レベルでの動きを意識させながら解説しています。

また、「POINT」「注意」「発展」といったマーク分けが丁寧で、最初に読むべき内容と余裕があれば読む内容が明確に区別されています。

福間の無機化学の講義

無機化学は「覚えることが多すぎて嫌い」という受験生が最も多い分野です。この本はそんな無機化学の暗記地獄を、体系的な整理と理屈による理解で乗り越えさせてくれます。

気体の製法・工業的製法・各族元素の性質など、バラバラに見える知識を「なぜこの反応が起きるのか」という視点で結びつけているため、丸暗記より確実に記憶に残ります。

巻末の「まとめカード」は試験直前の確認に非常に有効で、福間の無機化学ならではの強みです。

鎌田の有機化学の講義

有機化学は、反応の「流れ」と「構造の変化」を理解できるかどうかがすべてです。この本は、官能基ごとの反応を整理しながら、どの試薬がどの官能基に反応し、なぜその生成物ができるのかを丁寧に解説しています。

入試頻出の「構造決定問題」への対策も充実しており、問題の読み解き方・手順を段階的に学べます。有機化学が苦手だった受験生が、この1冊をきっかけに得意分野に変えたケースを私は何度も見てきました。


Doシリーズのメリット・デメリット

メリット

  • 「理解」を重視した解説:なぜそうなるかを説明してくれるため、忘れにくく応用が効く
  • レイアウトが読みやすい:色使いと図が豊富で、視覚的に理解しやすい
  • 網羅性と精選のバランスが良い:重要な内容を絞り込んでいるため、読み切れる分量に収まっている
  • 入試問題への接続がスムーズ:本文中の例題・章末問題が実際の入試問題レベルと近い
  • 3冊でセット化されている:化学全範囲をこのシリーズで統一できるため、学習の一貫性が生まれる

デメリット

  • 初学者には難しい場合がある:高校の授業や教科書を全く理解していない段階で使うと、解説についていけないことがある
  • 問題演習量は多くない:インプット中心の参考書のため、問題演習は別途問題集が必要
  • 理論化学は分量が多い:3冊の中で理論化学が最もボリュームがあり、消化に時間がかかる
  • 難関大の最難問には対応しきれない:東大・京大・東工大の化学の中でも特に難しい問題は、追加の演習が必要

東大卒・家庭教師が推奨する使い方

3冊の優先順位と順番

化学の勉強には「正しい順番」があります。私が生徒に勧めている順番はこうです。

①理論化学 → ②無機化学 → ③有機化学

理論化学は化学の土台です。モルや反応式・酸塩基の考え方を固めないまま無機・有機に進んでも理解が浅くなります。必ず理論化学から始めてください。

ステップ別の使い方

ステップ1:本文を「読む」(精読フェーズ)

まず1章を通して読みます。このとき、ノートに写す必要はありません。太字・POINT・図を中心に「概念をつかむ」ことに集中してください。

ステップ2:例題を「自力で解く」(アウトプットフェーズ)

本文を読み終えたら、例題を閉じた状態で解いてみます。答えを見ずに手を動かすことが重要です。

ステップ3:解説と照らし合わせて「理解のズレ」を確認する

計算ミスなのか、考え方が違うのかを明確に区別します。考え方のズレは本文に戻って必ず解消しましょう。

ステップ4:章末問題で定着確認

例題が解けるようになったら章末問題へ。ここで解けない場合は、その単元の本文をもう一度読み直します。

ステップ5:間違えた問題を繰り返す(反復フェーズ)

間違えた問題に印をつけ、3日後・1週間後に再挑戦します。この反復が最も重要なフェーズです。


Doシリーズと他の化学参考書との比較

参考書難易度特徴Doシリーズとの関係
化学の新研究(三省堂)★★★★★圧倒的な情報量・辞書的使用Doシリーズで理解→詳細確認に使う
化学の新標準演習★★★☆☆問題演習メインDoシリーズの後に使う問題集
坂田アキラの化学★★☆☆☆初学者向け・超丁寧Doが難しければこちらを先に
重要問題集(数研出版)★★★★☆入試演習の定番Doシリーズ終了後の演習に

Doシリーズは「参考書(インプット)」のポジションです。理解を深めたい場合は「化学の新研究」を辞書代わりに使い、演習は「重要問題集」や志望校の過去問で積み上げるのが理想的なルートです。


目標大学別・おすすめ活用ルート

目標推奨ルート
共通テスト7割Doシリーズ3冊 → 共通テスト過去問
共通テスト9割Doシリーズ3冊 → 共通テスト対策問題集 → 過去問演習
地方国立・MARCHレベルDoシリーズ3冊 → 化学の新標準演習 → 過去問
早慶・旧帝大レベルDoシリーズ3冊 → 重要問題集 → 過去問
東大・東工大・医学部Doシリーズ3冊 → 重要問題集 → 難関大向け問題集 → 過去問

よくある失敗パターン

私がこれまでの指導経験で目にしてきた失敗を3つ紹介します。

1つ目は「読むだけで演習しない」パターンです。Doシリーズは読みやすいため、読んだだけで「わかった気」になってしまいます。必ず手を動かして問題を解くことが必要です。

2つ目は「3冊を同時並行で進めようとする」パターンです。3冊を少しずつ同時に進めると、どれも中途半端になります。理論→無機→有機の順に、1冊ずつ完成させてください。

3つ目は「1周で終わらせようとする」パターンです。1周読んだだけでは知識は定着しません。少なくとも2〜3周繰り返すことで初めて実力になります。特に無機化学の暗記項目は反復が命です。


FAQs:よくある質問

Q1. Doシリーズだけで化学の受験勉強は完結しますか?

インプットはほぼ完結しますが、問題演習は別途必要です。化学の重要問題集や共通テスト対策問題集を組み合わせることで、入試に対応できる実力がつきます。

Q2. 高校1・2年生から使えますか?

高校化学の基礎授業(教科書の内容)を一通り終えていれば使えます。ただし、授業を全く受けていない段階での使用は難しいため、その場合は「坂田アキラの化学」などの入門書を先に読むことをおすすめします。

Q3. 3冊それぞれの完成にどのくらいの時間がかかりますか?

1日2〜3時間の学習で、理論化学が約2ヶ月、無機化学が約1ヶ月、有機化学が約1.5ヶ月が目安です。ただし、復習の繰り返しが前提のため、受験学年なら夏前には1周目を終えるスケジュールで進めてください。

Q4. 理論・無機・有機は必ず順番通りに進めるべきですか?

原則として理論化学から始めることを強く推奨します。ただし、学校の授業が無機・有機を先に扱っている場合は、授業に合わせてDoシリーズを使いながら、理論化学は並行して進めても構いません。

Q5. 化学の新研究との違いは何ですか?

「化学の新研究」は辞書のような詳細な参考書で、読み通すことを目的とした本ではありません。Doシリーズは「通読して理解するための本」、化学の新研究は「疑問が生じたときに調べる本」という位置づけで使い分けるのがベストです。

Q6. 共通テストのみで化学を使う場合もDoシリーズは必要ですか?

共通テストのみなら3冊フルに使う必要はありませんが、理論化学と、志望学部に関連する分野(理系なら全範囲)は必ず押さえておく必要があります。Doシリーズは共通テストの範囲を十分にカバーしているため、1冊目の参考書として十分活用できます。


まとめ

Doシリーズ(鎌田の理論化学・福間の無機化学・鎌田の有機化学)は、化学の受験勉強において「理解ベースのインプット」を完成させるための最良の選択肢の一つです。

3冊を順番通りに、手を動かしながら繰り返し取り組むことで、化学の基礎から標準レベルまでの実力が確実についてきます。暗記に頼らず「なぜ」を理解することが、入試本番での応用力につながります。

化学は正しい参考書と正しい使い方で、必ず伸びる科目です。焦らず、着実に取り組んでいきましょう。


本記事は東大卒・家庭教師経験者による監修のもと作成しています。

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