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物理の問題の解き方|公式を使いこなすための思考プロセス

物理の問題の解き方|公式を使いこなすための思考プロセス
物理の問題の解き方|公式を使いこなすための思考プロセス

物理の問題の解き方|公式を使いこなすための思考プロセス

「公式は覚えているのに問題が解けない」「初見問題になると途端に手が止まる」——物理でこうした悩みを持つ人は非常に多いです。

原因はほぼ共通しています。公式を「暗記」しているだけで、「どう使うか」という思考プロセスが身についていないのです。

この記事では、物理の問題を解くときの正しい頭の使い方と、初見問題にも対応できる思考プロセスを体系的に解説します。

なぜ「公式を覚えても解けない」のか

物理が解けない人の多くは、公式を「答えを出す道具」として捉えています。しかし本来、公式は「物理現象を記述する言語」です。この認識の違いが、解けるかどうかを大きく分けます。

🗂️
原因① 公式を「丸暗記」している

何を表す式か理解せず、形だけ覚えている。条件が変わると使えない。

🖼️
原因② 状況を図にしていない

問題文を頭の中だけで処理しようとして、力や速度の向きを取り違える。

🔢
原因③ いきなり数値を代入する

文字式のまま整理せず数値を入れてしまう。どこで間違えたかわからなくなる。

🔍
原因④ 「何を求めるか」が曖昧なまま

求めるものを明確にせず手を動かす。途中で何をしているかわからなくなる。

⚠ 最もよくある間違った解き方

問題文を読んだら「この公式を使いそう」と即座に計算し始めるパターン。物理は「状況把握→方針決定→立式→計算」の順番があり、最初の2ステップを飛ばすと必ず詰まります。

物理の問題の解き方|5ステップの思考プロセス

物理の問題を正しく解くためには、次の5ステップを順番通りに踏むことが重要です。これは初見問題にも応用できる汎用的な手順です。

1
状況を図に描く(状況把握) 問題文の物体・力・速度・角度を自分の手でざっくり図に起こす。絵が上手い必要はなく、「向き」と「関係」が見えれば十分。
2
「何が問われているか」を言葉にする(目標設定) 「最終的に求めたいのは何か」を一言で確認する。「速度を求める」「時間を求める」など具体化する。
3
使う物理法則を選ぶ(方針決定) 力学か、エネルギーか、運動量か。どの法則が使えるか、与えられた情報から判断する。
4
文字式で方程式を立てる(立式) 数値はまだ代入しない。文字のまま式を整理することで、式の構造が見え、検算もしやすくなる。
5
数値を代入して計算・検証する(計算と確認) 最後に数値を代入。単位・桁・符号が物理的に正しいか必ず確認する。
💡 このステップのポイント

解けない人の9割はステップ1〜3を省略して、いきなりステップ4〜5に飛んでいます。時間がかかっても最初の3ステップを丁寧に踏むことが、結果的に最速の解き方になります。

ステップ1が最重要|図を描く習慣が解ける力を決める

5ステップの中で最も差がつくのがステップ1「状況を図に描く」です。物理が得意な人ほど、図を描くことを大切にしています。

❌ 図なしで解こうとする例

「斜面上の物体が…」→ 頭の中だけで力の向きを考える → 重力の成分を取り違える → 式が間違う

✅ 図を描いてから解く例

「斜面上の物体が…」→ 斜面を描き、重力・垂直抗力・摩擦力の矢印を描く → 成分分解が正確になる

図の例:斜面上の物体にはたらく力
θ 物体m mg N f(摩擦) mgsinθ mgcosθ

このような図を自分で描ける習慣が、成分分解のミスをほぼゼロにする

📐 図を描くときの3つのルール
  • 力は矢印で描き、必ず「作用点(物体)」から出発させる
  • 座標軸(x軸・y軸)を自分で決めて図に書き込む
  • わかっている量(数値・文字)を図に書き込んでから計算に入る

ステップ3が鍵|物理法則の選び方の考え方

状況を把握したあと、「どの法則を使うか」で迷う人が多いです。物理法則の選び方には明確な判断基準があります。

使う法則 いつ使う?(判断基準) キーワード
運動方程式 F=ma 力と加速度の関係を求めたいとき 力・加速度・質量
エネルギー保存則 速さと位置の関係を求めたいとき(保存力のみ) 高さ・速さ・なめらか
仕事とエネルギー 摩擦や外力が仕事をするとき 摩擦・仕事・エネルギー変化
運動量保存則 2物体が相互作用するとき 衝突・爆発・内力のみ
等加速度の公式 加速度が一定で時間・変位・速度を求めるとき 一定の加速度・時間

「与えられているもの」と「求めたいもの」を見比べ、両方が含まれる法則を選ぶのが基本戦略です。複数の法則を組み合わせる問題でも、この考え方を各パートに適用します。

公式の正しい使い方|「暗記」から「理解」へ

物理の公式は、覚え方を変えるだけで格段に使いやすくなります。公式は「①何を表す式か」「②使える条件は何か」「③どの量が求まるか」の3点セットで覚えましょう。

運動方程式
F = ma
「合力」=「質量×加速度」の関係式

Fは「その物体にはたらく合力」。複数の力が作用するときは必ずベクトル和をとってから使う。「力の釣り合い」はF=0の特殊ケース。

等加速度
v = v₀+at
「速度の変化」を表す式

aが一定のときしか使えない。重力加速度g、一定の外力など「加速度が変わらない場面」を必ず確認してから使う。

力学的
エネルギー
½mv²+mgh = 一定
「保存力のみ」が絶対条件

摩擦力・空気抵抗があるときは使えない。「なめらか」「空気抵抗無視」の記述がある場面で使う。摩擦があれば「仕事とエネルギーの定理」に切り替える。

運動量
保存
m₁v₁+m₂v₂ = 一定
「外力がゼロ」のときに成立

系の外からの力がはたらかないとき成立。衝突問題では「衝突前後」で運動量の和が保存される。反発係数(e)とセットで使うことが多い。

✅ 公式の覚え方の鉄則

条件を知らずに公式を使うのが最も多いミスの原因です。「この公式が使えるのはどんなときか」を一言で言えるようになるまで、例題と一緒に繰り返し確認しましょう。

初見問題が解けない理由と対策

「練習問題は解けるのに、初見問題になると解けない」——この原因は「問題のパターンを覚えて解いていた」ことにあります。

❌ パターン暗記型の解き方

「この問題は斜面だから運動方程式と等加速度を使う」→ 問題文の設定が少し変わると対応できない

✅ 思考プロセス型の解き方

「どんな物理現象が起きているか?」→「何を求めたいか?」→「どの法則が使えるか?」を毎回考える

初見問題への対処法3つ

「何が保存されているか」を考える エネルギー・運動量・電荷など、問題の中で保存される量を探す。保存則が使える場面では立式が大幅に楽になる。
「物体がいくつあるか」を整理する 物体が複数あるとき、それぞれの物体に対して別々に運動方程式を立てる。接触・紐でつながっている場合は「共通の加速度」を利用する。
「時刻・状態を区切る」 「衝突前」「衝突後」「最高点」「静止したとき」など、状態が変わるタイミングを図に明記する。各タイミングで法則を適用すれば複雑な問題も整理できる。

物理の思考力を鍛える勉強法

思考プロセスを身につけるためには、問題を「解くこと」より「解き方を説明できること」を目標にした勉強が効果的です。

勉強法内容得られる効果
解法の言語化 解いた後に「なぜこの法則を使ったか」を言葉で書く 思考の型が定着する
図の模写→自力で描く 参考書の図を見て、翌日自力で描けるか確認する 状況把握の速度が上がる
条件変えの類題 「摩擦がある場合は?」「2物体になったら?」と自分で問題を変える 法則の適用範囲が明確になる
間違いの分類 「図が間違い」「法則選択が間違い」「立式が間違い」「計算ミス」に分ける 弱点が特定でき対策できる
💡 「解法の言語化」が最も効果が高い理由

問題を解いた後、「①なぜ図にこの力を描いたか」「②なぜこの法則を選んだか」「③立式の根拠は何か」を3〜5行で書く習慣をつけましょう。最初は時間がかかりますが、3〜4週間で初見問題への対応力が目に見えて向上します。

物理の解き方に関するよくある質問

物理の公式は全部覚えなければいけませんか?
すべてを丸暗記する必要はありません。「使える条件」と「何を求める式か」を理解していれば、派生式は自分で導けます。むしろ導出できることの方が試験では強い武器になります。
図を描く時間が惜しい気がします。省略してもいいですか?
省略すると結局ミスが増えてトータルの時間が長くなります。慣れれば図を描く時間は30秒〜1分です。力の向きを取り違えて最初からやり直す時間の方がはるかに長いです。
力学は理解できましたが、電磁気が全然解けません。
電磁気も解き方の手順は力学と同じです。「電場・磁場を図に描く」「力の向きを矢印で描く」「どの法則を使うか決める」という手順を踏めば解けるようになります。クーロン力と重力の類比を意識すると理解が速くなります。
問題を解くとき、5分考えてもわからなければ答えを見ていいですか?
5分考えて方針がまったく立たないときは、答えの「方針部分だけ」を見るのはOKです。ただし計算は自力でやること、そして翌日同じ問題を見ずに再度解ける状態にすることが重要です。
📝 この記事のまとめ
  1. 物理が解けない根本原因は公式の丸暗記と、図を描かないことの2つ
  2. 5ステップの思考プロセス:状況把握 → 目標設定 → 法則選択 → 立式 → 計算・検証
  3. 図を描くことが最重要。力の矢印・座標軸・既知の量をすべて書き込む
  4. 法則の選び方:「与えられているもの」と「求めたいもの」が含まれる法則を選ぶ
  5. 公式は「条件・意味・求まる量」の3点セットで覚える
  6. 思考力を鍛える方法は「解法の言語化」と「間違いの分類」が最も効果的

正しい思考プロセスは繰り返せば習慣になります。まず次の1問から5ステップを意識して取り組んでみましょう。

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